逆から見る

不届な街がある。

 

遥か昔に外国に侵略されて奪われた街だった。

住民はすっかり外国人気取り。

 

こちらが長く苦しい貧乏時代にも、外国人からもらった仕組みでキラキラと輝いていた。

 

時代は変わった。今度はこちらが豊かになる。

その街も返ってくることになった。

しばらくは外国人の影響も残すがいずれ完全に一つになる。豊かになったこちらと一つになることを、街の人たちも喜んでいる。

 

少しずつ、言葉や娯楽からこちらの影響を与えていく。当然だ。こちら側ではずっとそうしている。

この街はもう外国ではないのだから。少々約束より早くても気にすることはない。

 

どうせ外国の金持ち達はこちらと手を組んで金持ちになることを選んだ。

 

自国、他国問わず少々のことは目を瞑るだろう。

 

特に西の大陸の女首相、アイツはいい。

こちらの提案に思い切り乗ってきた。

お互い自国の人民を上手く使って、選ばれた我々が儲かる仕組みを作る。

 

??その街の奴らが何か騒いでいる。

やめてくれ、他の街の奴らも騒ぎ出すだろ。

こちら側はずっとうまくやってきているんだ。

 

政党?とやらも一応認めているし、形だけだが選挙とかいう非合理的な祭りも残しているだろう?

 

こちらは長く厳しい時代に反乱分子を徹底的に破壊して、殺してきた。

 

たかが一つの街がウダウダ言うことは絶対に許さないし、他の街を騒がすな。

 

仕方ない、いつものやり方で黙らせよう。

 

ただし、まだ外国との約束があるからいつもよりは優しくしてや…おいおい、黙って下を向いて居れば一族までは殺しはしないし、街の人全員を収容しようとはまだ思ってないのに、わがまま過ぎだぞ。

 

そうか、外国人の奴ら、裏で手を回しているな。卑怯な奴らはすぐにこちらの真似をしてくる。しかし、それじゃ甘いんだよ。

 

さて、ここは引くわけにはいかない。

もう貧乏には戻れない。戻ったら、一族皆人民に殺される。それがこちら側のルールだ。

 

…しかし何でいちいち騒ぐのだろう。

こちらの仕組みで暮らしている人民を見てみろ。皆それなりに稼いで暮らしているではないか。

 

たまには一族郎党消さなければならないこともあるし、広い国内、賄賂が蔓延ることもある。

しかしそれは世界中にあることだ。

 

我々は街、地区、地域単位で完全に掌握している。我々の言うことを聞くだけで、多くの人民は生きていけるのだ。

 

まだまだ、気付いていない地域が世界中に残っている。あらゆる手段を使って平和にしていかなければ。

 

いつになったら人類は計画通りに管理されるようになるのだろうか?